KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年11月号
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活用できるタートルカットソー「パドゥリオン」を考案し、年間10万枚のメガヒットアイテムに。売れに売れていたのですが、2008年をピークに売上が激減。倒産を覚悟し、家も手放さないといけないだろうな…と家の代わりとなるキャンピングカーを買ったところ、週末アウトドアにハマってしまって(笑)。そこからヒントを得て売り出した「ティーピーオブザデイ」というアウトドア系ブランドがまたブームとなるんです。人間って頭から煙がでるほど考えたら神様がヒントを与えてくれるんですね。それまでバイイングしていた世界中のどの国の靴よりも履きやすいのが神戸・長田の靴だとわかり、メイドインジャパンに挑戦。2014年に立ち上げた街歩き用バレエシューズの専門ブランド「ファルファーレ」が大ヒットし、倒産の危機からV字回復していきました。「ファルファーレ」は消費者目線で要素を選択・集中し、品質向上・在庫効率化を実現。通気性や伸縮性、汚れにくさなど、革ではできないことを実現できるため、あえて合皮を採用することで、柔らか素材で足になじむ世界一のバレエシューズが完成したと自負しています。…製造を手掛ける長田区の靴職人の技術の高さや品質の良さを消費者に伝え、地場産業の振興にも貢献されていますね。何より消費者ファーストの作り方、売り方が心に響いて大ヒットにつながっているのでしょうね。なりたい自分を演じることができるのが服のマジックだし、ファッションの力だと思います。特にコロナでファッションの在り方も大きく変わりました。トレンドよりも多様性を重視し、自分が好きなカラーやデザインを着て、自分をブランディングして発信していくSNS的な方法がより身近になってきた。個性をだして、自分を包み隠さず出せることが生きがいとなり、それが生きている実感につながっていきます。うちも企業理念として「ここち良さを、あたらしい視点から」を掲げ、自分を表現する新しい視線のビジネスモデルを考え、ポテンシャルを見出していきたいと考えています。それには商品やサービスを提供する側と消費者の信頼関係も大事ですよね。飲食業も同じで、各店がしっかりブランディングすることでお客様もお店を選びやすくなります。9月に当サロンでオープンしたレストラン「78」は完全予約制でメイン料理を選んでいただくスタイルにしています。お一人おひとりにできるだけあわせたものという想いと仕込みがわかるので廃棄がなくなり、その分、いい素材を使って価格を抑えることができるからです。アパレル産業でも廃棄問題がとりざたされています。当社でも環境破壊を少しでも防ぎたいと、2024年までに生産量の80%を受注生産に切り替える予定です。必要とされる分だけ生産し無駄なものを作らない。注文していただいてから生産するのでお届けまで1~2ヶ42

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