KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年11月号
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実させています。ゆっくり時間をかけて、噛みしめながら食事をすることが一番大切ですから。厄介な問題〝コロナ〟を気力・体力・知力で乗り切る―南京町もコロナで大きな打撃を受けていますね。どう乗り切ればいいのでしょうか。曹緊急事態宣言下ではお客さんも売り上げも9割減でした。少し戻りつつある今が勝負どころです。それまでは国内、海外からたくさんの観光客に来ていただき「置いておけば何でも売れる」というような状況が続き、店にとっては良い時代だったかもしれませんが、将来を考えると絶対に良くなかったのだと思います。なんでもかんでも売れる時代は去りました。コロナを南京町にとっての〝良い試練〟と捉え、これをきっかけに変わっていかなくてはいけません。美味しいものをきちんと計画的に作り、無駄にしたり捨てたりしない。そういう配慮が商売をする人間にとって必要になってくるでしょうね。コロナで失うものは大きいけれど、乗り切った先にあるものは大きいと思っています。安藤中国でも「食べ残さない」と言い始めています。77億人を超える世界の人口のうち14億人ほどいる中国の人たちも丁寧に食べることが美味しいと考えなくては、地球上の食が危うくなります。もちろん日本も同じです。捨てる量がすごく多く、その食材をどこから求めているかといえば、結構外国からが多い。そこで大切になるのが「食育」です。昔から岩田さんが言っておられる「商品の量を2割減らして、最後までちゃんと食べるようにしないといかん」。これは正しいと思いますね。岩田食が担う社会貢献は多々あり、新しい時代の食の提案をしていかなくてはいけないと考えていますが、コロナ29

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