KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年10月号
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熱い思いが伝わってきて、「僕もがんばらなくっちゃ」という気持ちになります。手仕事でのものづくり「民藝」の趣旨に共感―今後目指すところは。思想家・柳宗悦によって提唱された生活文化運動「民藝」に今、すごく感銘しています。料理研究家の土井善晴さんが影響を受けたという話を聞き、「河井寛次郎記念館」へ行ってきました。彼はすごく作り込んだ個性豊かな作品を発表していますが、柳宗悦の影響を受け、生活に根差した作品へと変わっていきます。どういうことかというと、飾らない美しさを見い出したと僕は解釈しています。その美学は、5つのキーワード「誠実」「簡素」「健康」「自然」「無心」に集約されています。どれもものづくりにとってすごく大事なこと。パンづくりでも同じですが、私はせいぜい2つ「無心」と「健康」まだまだです。―週3日の休みは。ほとんど店に出て来ています。講習会やイベントがある時は定休日を使いますし、その中で仕込みもありますから、なんとかうまくやりくりしています。7日間ずっとパンから離れることはないです。いろんな人と会って話すと、自分の世界が広がる―パン以外の楽しみは。仕込みをしながら音楽を聴いています。強気で気分を上げるときはオペラ。パヴァロッティは荘司シェフから教えてもらいました。「パン屋さんのテーマソングが決まったよ」と言って車の中で大音量で聴かせてもらったのが「パニス アンジェリック」。「天使のパン」という呼び名がある荘厳ミサの一曲です。オペラの楽しさは佐渡裕さんに教えていただきました。佐渡さんのオペラを観に行くと、すごいですね、老若男女問わずいつも満席。佐渡さんの分かりやすい解説で、私もすっかりオペラファンになりました。音楽を広めたいという36

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