KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年9月号
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を願うばかりですが、そういった神道の考え方から見ると、まずは„今"できることは何かを考えてみる。人にうつさないためにマスクを着用する、これも日本人特有の気遣いだと思いますね。コロナによって、人と人との深い心の結びつきや、家族や隣人に対する配慮について改めて考える契機となったと思います。明子さん コロナ禍のなか皆さんが間隔をあけて、静かにお参りされている姿を見て、私たちももっと何かできないだろうかと常に考えるようになりました。大変な時期だからこそ、ご参拝の皆様が心を癒し、少しでも前向きになって気持ちよくお帰りいただければと祈念しています。…芦屋神社では祝詞を書き写す「写典」を受け付けておられますね。康司さん コロナの退散を祈る祝詞の文字をなぞっていただくもので、どなたでも約30分でできます。ステイホームのなか、何かに集中して成し遂げる生活のリズムをおつくりいただいたらと思います。姿で出掛けるようにしています。明子さん 確か、三好先生のお母様もお着物関連の作家さんですよね。…母と祖母が絽ろざ刺しをしていました。生地目に沿って直線に針を刺していく刺繍で、絽刺しした生地をアップリケのように縫いつけます。祖母の作品を施した帯が箪笥に眠ったままになっているので、私ももっと着物を着て、和装文化を発信していかなければ、と反省しています(笑)。康司さん 日本人の習俗や先人の知恵を次の代へ伝え、引き継いでいくことが大切ですよね。「神道」は宗教というよりはむしろ古代人の「考え方」や「姿勢」を習慣化したものに近いんです。「常若信仰」といって、常に若々しくあることが尊重されており、女性にもぴったりの考え方なんですよ(笑)。…日本古来より信仰される「神道」は過去と未来をつなぐ“今”を大切にしているとか。コロナで大変な“今”の生き方をどのようにお考えですか。康司さん 死後、極楽浄土での幸せを願う仏教と違い、神道は現世での幸せを願い、„今"を積極的に元気に生きることが明るい未来につながるというポジティブ思考です。コロナは1日も早い収束41

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