KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年9月号
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気にしてる娘かどうか試してみようと、彼女の外観などを描写して岡井さんに確かめてみた。すると、どうも岡井さんの言う娘と僕の想像している娘が一致しているような気がしてきた。「もしその娘やったら、会ってみてもええかなと思うけど」「せやったら、早い方がええ、今日はどない?」「うん、僕はええけど」「せやったら、彼女に連絡して聞いてみるわ」彼女から電話番号を教えてもらっているらしい。なんだかお見合いをするような感じになってきたけれど、それにしても、岡井さんと一度も話したことがないのに、よう大胆に岡井さんに話掛けたもんやなあ。僕だったら絶対そんなことようせん。ひとりっ子で育ったせいか、自分から積極的に行動を起こすとい美術家横尾 忠則神戸で始まって 神戸で終る ⑧ら先きに言うけれど、横尾君を紹介してくれませんかと言うたんや。僕と君がいつもくっついて館内をうろうろしているのを見とったらしいんや、せやから、紹介して欲しいと言うんやけど、どないする?」「どないするゆうたかて、どんな娘や、名前も知らんし」「あのなあ」と言って岡井さんはその娘の容姿などを話し始めた。「僕としても気になる話やけれど紹介されても興味のない娘やったら困るなあ」「岡井さんはその娘、よう知ってる娘?」「いや、僕もよう知らんけれど、館内では何度も見かける娘やから、知らんことはないわ。名前は谷さんいうねん」僕は岡井さんの描写だけでは特定できないので、僕が多少、「あんなあ、君、新聞会館の谷さんいう女の娘、知ってるか?」と岡井さんがひそひそ声で、何やら秘密の話を漏らすような口ぶりで話した。「いや、知らんけど、それがどないしたんやいうの?」岡井さんは、テーブルの上のコップを手にして一気に水を飲んだ。なんとなくソワソワして、落ちつきのない岡井さんだ。「あのなあ、僕、兵庫駅のホームで電車を待ってたんや、そしたらなあ、ひとりの女の子から話し掛けられたんや」「へェー、それで、なんかええことあったんか?」岡井さんのおのろけを聞かされる羽目になった。「違う、違う、僕と違うんや。」「それで、どうしたんや?」「実はやな、その娘が、結論かTadanori Yokoo撮影 三部正博18

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