KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年8月号
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成地区にも指定され美しいアグリスケープが保全されている。ここの棚田は自然石を積み上げた石垣が特徴で、見上げれば鈍色の石垣と緑の水田がミルフィーユのように重なって独特の景色を織りなしている。最も長い石垣は100m以上、最も高いものは5m以上あり、そのスケールの大きさに「農のピラミッド」ともよばれているのも頷ける。少し登って見下ろすと、また違った風情。等高線状にゆるやかなカーブを描き、棚田が谷を取り囲んでいる。しかも1枚1枚が地形を生かした形で、四角四面でないところに芸術性すら覚える。それにしてもこんな急峻な斜面によくこれだけの田んぼを切り拓いたものだ。なんと約360筆もあるという。鎌倉時代にこれだけのものを築き上げたのは神業だ。過疎化が進んだ昨今、全国的に棚田は荒廃が進んでいる。しかしここは地元の人たちの努力で守られ、美味しい棚田米の生産のみならず、生物の多様性や洪水・地滑りを防ぐ防災機能まで担っている。GLEのように美しドを進むと、谷の奥に桃源郷の如く棚田の集落が広がる。岩座神へと着いた。五霊神社に聳える巨木の陰に車を停めドアを開けると、足もとにスリーポインテッドスターが映し出されている。このブランドロゴプロジェクトライトといい、64色のアンビエントライトといい、モダンラグジュアリーな感じが心憎い。千ヶ峰の麓に広がる岩座神の棚田は日本の棚田100選を飾るだけでなく、兵庫県景観形岩神座の棚田の頂から眺む41

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