KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年8月号
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グラス販売もあるが、今回はハンドルを握るので我慢。神戸ワイナリーには陶芸体験やゴーカート、バーベキューなどレジャー施設も充実しているから、7名乗りのGLEで仲間と一緒に再訪しよう。2列目シートが電動でスライドし3列目でもスムーズに乗り降りできるゆとりの空間に、みんな満足してくれるに違いない。兵庫一の巨大池、加古大池さらに西へ。明石川の谷から続く長い急坂も、GLEは軽々と登っていく。新開発の直列6気筒エンジンにISGと48V電気システムによるブースト機能が加わってグングン加速。力強いことこの上なく快哉で、エネルギー効率も良さそうだ。国道175号を越え田園地帯に入ると、にわかにため池が多くなってくる。実は、兵庫県は日本一ため池の多い県で、その数なんと約2万4千4百と2位の広島県より4千以上多い。しかも農業用水において全国平均では約9割が河川を利用しているが、兵庫県では半分近くをため池が供給している。中でも稲美町を中心とするいなみ野は、水田面積に対するため池の割合が日本一のため池地帯だ。このあたりは台地状の地形でもともと水利が不利、しかも瀬戸内式気候ゆえ雨が少ない。そこで、古代よりため池を設け雨水を溜め農業に利用、江戸時代になると用水の水も湛え新田開発が進んでいった。災害が激甚化する近年では、洪水防止などの防災機能も注目されている。加古大池はとにかくデカい。丘のような堤体を登ると視界いっぱいに水面が広がる。湖かと思うほどの広さだ。県内最大のため池で面積49 ha、甲子園球場が12個入ってまだ余裕がある。周囲は3km、阪神電車の神戸三宮~西灘の営業キロに相当する。この日は風がほとんどなく、明鏡止水とはこのことで、雲が足もとにもあるようだ。たまに涼風がそよぐと、さざなみが幾何学模様を織りなす。小さな島に祠があり、その周りで鴨たちが寛いでおり、亀も甲羅を干していて、時々魚も跳ねている。まさに自然がいっぱいだが、ここはまぎれもなく人工の池。江戸時代に地元の庄屋たちの請願で新田開発用のため池として普請されたが、池に水を引く用水路工事は高低差が少なく難儀したという。戦後間もなく改修され、5加古大池(稲美町)39

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