KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年6月号
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いけれど(笑)、本当に一生懸命な生徒たちの様子を見ていたら居ても立ってもいられず、その場で1時間ほど指導しました。すると、どんどんいい演奏になっていくんです。「また来る機会があれば一緒に練習しよう」と約束し、昨年3月、再度訪ねて練習をしました。みんなキラキラしていて、「演奏会をしたいかい?」と聞くと、「やりたい!」と。そこで3つのミッションを提示しました。「行橋の街に音楽の喜びを届ける」「街を活性化する」「ティーンエージャーが奇跡を起こせると知ってもらう」。多くの人に参加してもらえるベートーベン第九に決め練習を重ね、全校生徒に協力を呼びかけ、市役所の協力も得て5月3日、野外コンサート開催決定。ところが今回は中止。1年延期に向けて話し合いをしているところです。―ご自身はどんな子どもだったのですか。音楽の道を志していた?母親が音楽教師だったこともあり、小さい頃から音楽や楽器に触れる機会はたくさんあり集まって交じり合い、有意義な時間を共有しています。私はお酒が好きですから三宮界隈にもお気に入りのお店が何軒もあります。親しくしているオーナーさんは皆さん、本当に大変な状況におられるでしょうね。今は自粛の時ですから我慢して、コロナ感染が収まったら、以前と同じように訪ねたいと思っています。子どもたちとの活動中止何より悔しく、残念な思い―演奏会は全て中止になってしまいましたね。中止は残念ですが致し方ないことです。ただ、ボランティアとして関わっている子どもたちとの活動ができなくなったことが何より悔しい思いです。一つは、福岡県行橋市での演奏会です。数年前、訪問した際に中高生が歓迎演奏をしてくれました。公立校としては珍しく管弦楽部がある中高一貫校の育徳館の生徒たちです。野外での演奏、曲は40分ほどかかるブラームスの交響曲第1番。上手とはとても言えな試練の先には、進むべき新たな道がきっと見えてくる―緊急事態宣言下、音楽家たちも苦境に立たされていますね。オーケストラの存続と、演奏家や演奏会に関わる多くの人たちの今後について危惧するところですが、まずみんなの健康が第一、命が大事ですから、今は感染者を増やさないよう努力する時です。オーケストラは50人、100人…といった編成で、何百、何千人もお客さんが会場に来られます。終息にはかなりの時間を要するとは思いますが、この状況下で無理をして演奏会を開催しようという気持ちは全くありません。―いつオーストリアから帰国されたのですか。どんなふうに過ごされていますか。3月の下旬に帰国し、自主的に2週間の自宅待機をしました。飲食店の方も大きな打撃を受けておられますね。神戸は不思議な街で、いろいろなジャンルの人たちが自然と一つの店に36

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