KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年4月号
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連載 カワムラの"神戸ビーフ"への思いビフテキのカワムラ 三宮本店神戸市中央区加納町4-5-13ヌーバスピリット1階TEL:078-335-0399FAX:078-335-0605神戸ビーフを選び抜くカワムラの眼力と熱意1972年に三木の街はずれで産声を上げたカワムラ。やがて神戸を代表するステーキレストランに成長し、今や銀座や六本木、北新地でVIPたちを迎えるまでに発展したが、その成功の最大の原動力は神戸ビーフへのこだわりと情熱にある。では神戸ビーフとは何か?その定義は神戸肉流通推進協議会により厳格に定められている。神戸ビーフとは兵庫県内の指定農家が生産し、兵庫県内の食肉センターに出荷された純血の但馬牛の未経産(仔牛を産んでいない)の雌牛または去勢牛のうち、肉質等級、脂肪交雑、枝肉重量で厳しい基準をクリアしたものに限られ、歩留等級(肉になる割合)や月齢にも基準がある。年間出荷頭数は5千頭程度だ。カワムラは中でも品評会の最優秀賞など最高級の神戸ビーフを数多く仕入れてきた。言わばビーフの「キング・オブ・キング」を提供してきたことで、店のブランドを輝かせたのだ。しかし、食肉センターでの評価はサシの入り方や形など主に〝見た目〟によるもので、神戸ビーフのすべてが極上の味わいとはいかないのも事実。セリの前に試食がある訳ではない。だからこそ肉の質を見極める〝眼〟が重要で、これは一朝一夕で培われるものではない。試行錯誤を重ねながら研ぎ澄ませてきた眼力が、カワムラの味を支えているのだ。オーナーシェフの川村春二は「ほかのブランド牛は口の中でサシがとろけるだけだが、神戸ビーフは赤身の旨味や香りがしっかり残り、飲み込む感触もある。そこが美味しさの分かれ道」と、吟味の際には赤身の質にも重きをおく。それは色合いも判別基準になるが、やはり飼育方法で差違が大きいという。だから春二は精力的に生産者を訪ね歩き続けている。 Vol. 086

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