KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年4月号
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…今日はブータンの伝統衣装でおこしくださり、ありがとうございます。「キラ」と呼ばれる女性の民族衣装で、縫製されたゴと呼ばれる男性の民族衣装と違い、女性は一枚布を体に巻いて着用するものです。銀細工のブローチを肩口につけることによって布を留め、上着を羽織るのですが、今日は色鮮やかな織りを見ていただこうと思って(笑)上着は着ていません。アジア各国ではとりわけ衣服の伝統が薄れていく中、ブータンでは現在でも人々の民族衣装の着用率も高く、最近は簡素化しながらも下半身のみスカートのように布(ハーフキラ)を巻き、ハンドバッグを持つスタイルが流行っています。…懐がポケットのようになるんですよね。以前、ポンチュ(竹で編んだお弁当箱)など、ブータンのメニューを紹介する際、色々と教えてもらいました。蓋がぴったり閉まるため、衣装の懐に入れて持ち歩くのに重宝されていたお弁当箱です。お弁当としてはもちろん、なかにお米や卵などを入れて友人へのおもたせにしたりします。預かった竹籠にまた何かをしのばせて返却するなど、ブータンの暮らしには旧き良き日本の昔の風習に似たところがあります。同じ仏教の国だからでしょうか、慎ましやかで相手を思う気持ちが強いですね。…また一方でお茶が好きな所も日本人と同じですね。撮影の時に飲んだバター茶の衝撃、鮮明に覚えています(笑)。驚かれたでしょ(笑)。ブータンのバター茶は、他の国のお茶とは違って塩味のあるお茶なのです。十数年前まではお客様をおもてなしする際には欠かすことのできない、現地の人々に愛されている飲み物でした。バターが入っている塩茶は、農作業で汗をかいた時に失われた塩分、高地生活で不足しがちなビタミン、脂肪分、たんぱく質を上手に補えるようになっています。けれども、最近はブータンでも次第にコーヒー、紅茶を飲むようになってきているようです。…バターの香りが口のなかに広がる甘いお茶を想像していたので、しょっぱい(!?)鶏ガラスープのような味にびっくりしました。ブータンでは料理にバターをよく使います。家畜ヤクの生乳を搾乳してバターやチーズ、干し肉を作り、保存食にするんです「ターブルドール」の敏腕スタッフとして一時期、活躍していた西岡さん。パン作りに精通する西岡さんにミニバーガーに使用する小さなバンズの製作を依頼したのがお二人のおつきあいの始まり41

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