KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年4月号
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サッカー、戦争、震災…歴史が残るクラブ―KR&ACは、今年創立150年を迎えるということですが。1870(明治3)年9月の創立だそうですから、今年150周年になります。会の創設者は、スコットランド出身の薬剤師、A・C・シムさん。シム商会を設立し、日本初のラムネを販売したことで有名な方です。六甲山を開発したA・H・グルームさんも創設メンバーの一人です。KR&ACが設立されたばかりの頃は、レガッタというボート競技やラグビーなど、激しいスポーツが中心に行われていたので、会員の方々は年をとられると退会してしまう。そこでグルームさんは、会員を引き留めるためにゴルフをやろうと、六甲山に目をつけたという話も聞いています(笑)。同じく開港都市である横浜には横浜カントリー&アスレチッククラブ(YC&AC)があって、KR&ACと行ったサッカーの対抗戦が、日本で最初のサッカーの試合だというふうにも言われています。今年の天皇杯はヴィッセル神戸が優勝しましたが、サッカーとのつながりは非常に深いわけですね。―趣きのあるクラブハウスも素敵ですね。KR&ACの建物は、以前は東遊園地にあって、初代の兵庫県知事の伊藤博文と土地の契約書を交わしています。外国人のクラブということで、第二次世界大戦中は三国同盟を結んでいたドイツかイタリアの方を会長に立てていたそうなのですが、戦後は逆にそれがGHQに敵視される原因になった、ということもあったようです。結局、戦後、東遊園地には神戸市役所がつくられるということでKR&ACは移設されることになり、1962年に現在の磯上公園に移ってきたそうです。実はこの建物は、僕と同い年なんですよね。だから「古くなってきたね」とか「新しくした方がいいのでは」と言われると、なんだか悲しい(笑)。阪神・淡路大震災の際には、市役所が使えなくなってしまったので、KR&AC1870年、神戸で最初のレガッタ創設者A.Cシム1888年、YC&ACとのサッカー対抗戦のメンバー。中列左から2人目がシム37

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