KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年3月号
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直列4気筒ターボはレーシングテクノロジーに裏打ちされた力強さと高性能のトルクで、まるで翼を得たように俊敏な走りを生む。7速のAMGスピードシフトもスムーズで、視界もメーターも視認性良く運転が楽しい。川西の市街地を抜けると緑が色を増す。国道を折れ狭い道に入ってもそう困らない小さなボディだが、車内に圧迫感などない。ほどなく猪名川に架かる赤い橋が見える。多田神社の神橋だ。その下には岩盤が露出して巌をなし、勇ましく水が流れている。平安末期から江戸の終わりまで、日本は武家社会だったことはご存じだろう。この間、武家の棟梁として君臨し続けてきたのが源氏で、多田はその発祥の地。多田神社は源氏の祖である源満仲公を始め頼光公、頼信公、頼義公、頼家公を祭神とする源氏と武士の守護神だ。石段を登ると門が現れ、それを抜けるともう一つ門があり、土塀の向こうに拝殿が見える。お寺のような風情だが、これには理由がある。実はもともと多田院という寺院で、本殿裏手には満仲公、頼光公の御廟もある。明治時代の神仏分離で神社となったそうだ。深閑な杜は凛とした空気に包まれ、その佇まいに威厳を感じる。檜皮葺きの本殿と拝殿は徳川四代将軍家綱公の命で普請された。ゆえに社紋の笹ささりんどう竜胆と徳川の葵の紋が随所に。時代劇好きなら土下座したくなるところだ。創建は970年、長い間源氏の祖廟として崇敬を集めてきたが、戦国期に織田信長の焼き討ちに遭っている。実は今年の日曜夜8時の主役、明智光秀は源氏の系譜にあり、多田神社の恨みを本能寺で晴らしたのかもしれない。江戸時代になると大名家が檀家となり、春になれば島津家が寄進した唐椿が咲くという。また、今年の春は本殿の飾り金具の補修が終わり、煌びやかに輝く姿が拝めるそうだ。「勝負」ではなく「勝武」の神様というのも面白い。負けはいらないという豪毅さは実に頼りになる。横綱・貴乃花と曙も訪れ、記念植樹を行っている。とにかくひっきりなしに離着陸があるので飽きず、滑走路の向こうにターミナルも望め、たくさんの飛行機が羽を休める姿も見える。フライト情報のモニタ表示もあり、お尻に根っこが生えそうだ。でも、飛行機だけがここの魅力じゃない。遊具もいろいろ、売店もあり、草花も微笑み、芝生も広いからお弁当を持ってきてピクニック気分も良さそう。滑走路沿いのランニングや散策もほかではなかなか体験できない。また、ツツジの名所でもあり、夜景スポットでもあり、誰と一緒に来ても楽しめる。飛行機マニアには伊丹スカイパークの南エントランスに隣接するスカイランドHARADAの駐車場もおすすめ。着陸するポイントが目の前にある。源氏の源流、多田神社猪名川に沿って北へ進む。信号の少ないリバーサイドウェイで、Mercedes-AMG A 35 4MATIC Edition 1としばし戯れよう。飛行機のジェトエンジンにはさすがに敵わぬが、2・0L47

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