KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年3月号
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チンスカヤは素晴らしい。燕尾服みたいな不思議なドレスを着て、裸足でチャイコフスキーのバイオリン協奏曲をまるでオーケストラを挑発するように弾くのがすごく印象的だった。―佐渡裕さんと交流がおありですね。彼は天才。日本の財産だね。神戸は、のんびりしていて、おおらかな街―神戸に来る前のお住まいは東京?子どもの頃からずっと東京。神戸に来る前20年ほど住んでいた家は、天才建築家・妹島和世さんが設計してくれた建物。金沢21世紀美術館もつくっているから、あそこへ行くとうちに居るみたいだった。素敵な建物で大好きだった。でも、東京暮らしはもういいかなって。―なぜ神戸へ?7年住んでみて、印象は変わりましたか。東京での生活が煩わしくなって、京都か神戸と思っていたけ―意外。「行かないで」「そばにいて」「おとなしくしているから」と言える女性かと…。原点は、今も健在で相変わらず気が強い母親かな。卓球のシニア大会でチャンピオンになった人。80歳過ぎたころ、全国大会前日に高熱出して入院していたのに「明日はどうしても行く」と言ってね。「説得してくれ」と父親から夜中に電話がきて、僕は「一度言い出したら決して前言を翻えさないから引き留めるのは無理。行かせなさい」と。そんな母親に育てられる息子は理不尽なことが多くて、悲劇だったけど。―でも強い女性に魅かれてしまうのですね(笑)。 ところで、このお店にはジャズが流れていますが、普段聴く音楽は?ジャズを聴くのはここに来たときぐらいで、よく聴くのはクラシック。今、気に入っているのは指揮者のグスターボ・ドゥダメル。中米ベネズエラ出身でね、何だか可愛い。ロシアの若手指揮者テオドール・クルレンツィスもいいね。バイオリニストのパトリシア・コパれど、たまたま今住んでいるマンションが建ち始めていて、すごく気に入って神戸を選んだ。だから大した理由じゃない(笑)。でも、港町は子どもの頃から好き。船の出入りを眺めるのが好きなんです。街の印象はのんびりしていて、おおらか。7年間、住んでみてもこの印象は変わらない。―これからもずっと神戸?特に心惹かれる街は他にないから、多分ずっと神戸かな。―「風街神戸」も続けていただけたら神戸っ子として嬉しいです。あのライブは本当に素晴らしかった。正直、全然知らないミュージシャンばかりだったから不安もあったけれど、期待の10倍以上、面白かった。―美味しいお店もあちこち行っておられますね。洋食屋も好きだけど、神戸はやっぱり中華かな。三宮、元町界隈ならどこでも美味しい。小さなお店でも頑張っていて、美味2323

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