KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年2月号
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し、派手なカーアクションみたいなものもいいけど、そういうヒューマニティな部分を感じていただけると嬉しいです。今まであったこの類の映画の中では一番良いんじゃないかな。あとは『栄光のル・マン』ぐらい。ぼくは試写会で見ただけだったので、もう一回劇場で見たいなと思っています。たちをその後もフォローしているのですが、実際にその道に進んだ子も多いようです。―『フォードVSフェラーリ』は、寺田さんが長年活躍されたル・マンを舞台にしていますが、ご覧になっていかがでしたか。いい映画だと思いましたよ。よく昔を再現していますし、走りも本物に近いような走りでした。それに脚本が大変よくできていましたね、メーカーの首脳陣と、レースチームのオーナーの葛藤ですとか。というのは自動車会社のトップの人たちは、自動車レースをあまり知らないわけです。レースっていうのは全員プロフェッショナルのレーシングチームで参加するのですが、トップはレースのことに関しては素人で、お金を出せば何でもできるのではないかというエゴ的な部分もあるし、そういう部分もよく描かれていて非常におもしろかったです。主人公のドライバーは、ものすごく短気で職人気質なんですが、そういう主人公が最後にチームワークに気付くわけです。そのラストがとても印象的です寺田 陽次郎 (てらだ ようじろう) 1947年神戸市生まれ。1965年に、ホンダS600でレースデビュー。'69年、(株)マツダオート東京に入社。ロータリークーペ、カペラ、サバンナRX−3などを経て、'74年富士ツーリングチャンピオンに輝く。以後'76年まで富士ツーリストトロフィーレースで3年連続優勝を果たす。海外レースでも、スパ・フランコルシャン、デイトナ、ル・マンの世界3大24時間レースに日本人として最初に出場。ル・マンには、'74年以降本年まで4回のクラス優勝を含め29回出場。日本人としての最多参加記録を現在更新中。近年では「Mr.ル・マン」と呼ばれている。(株)マツダスピード退職後は、'97年(株)オートエクゼを創設し、モータースポーツ活動とマツダ車専用自動車部品の開発・販売に意欲的に取り組んでいる。2013年より東日本大震災被災児童支援プロジェクトSupport Our Kidsを行っており、12ヶ国の大使と連携を取り子供達の海外ホームステイ支援をしている。て、華やかなル・マンのレースを見たり、フランス人の家庭にホームステイをして、石造りの家で、朝起きてカフェオレとクロワッサンを食べて、そういう生活をしてみたら全然変わってくるわけですよ。異文化に触れることによって、彼らも、彼女たちも強くなっていくんです。―子どもたちにとっては貴重な経験ですね。貴重な経験ですし、2週間のフランス滞在によって、子どもたちがものすごく変わるんです。過酷なル・マンのレースを見て、かげで支えるチームワークを見て、特に昨年、一昨年はトヨタさんが勝っているから日の丸が揚がったわけですね、そんなゴールの感動的なシーンを目の前で見るわけですから。帰国の前に、フランス大使館で結果発表をするんですが、そのときには「自分たちが大人になって何をしたいか、何になりたいか」を、みんなが言えるようになっています。看護師になりたい、先生になりたい、エンジニアになりたいとかね。事務局では、プログラムに参加した子ども39

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