ノースウエスト・テリトリーズのフォート・スミス。冬のシンノースウエスト・テリトリーズのフォート・スミス。冬のシンノースウエスト・テリトリーズのフォート・スミス。冬のシンリンバイソンの撮影のため、その町に滞在していたぼくは、リンバイソンの撮影のため、その町に滞在していたぼくは、夜になるとオーロラの出現を待っていた。ノースウッズ全域で観測できるが、北緯60度までくると確率が高くなり、しかも、天頂から降るように現れるのだ。夜中の1時を過ぎた頃、車を郊外に走らせていると、北の空に緑色の光が揺らめいた。空き地に停車し、カメラをセットする。気温はマイナス30度を下回り、瞬きをする度に吐息が凍りついて、上下のまつ毛がひっつくのを感じた。オーロラの発生条件に気温との関連はない。が、寒い夜の方が見られるというのは間違いとも言い切れない。雲ひとつない夜は放射冷却によって冷え込みが厳しくなるため、結果として気温の高い曇りの日よりも、見える確率が高くなるのである。さらに言うならば、オーロラ観測は冬である必要もない。白夜になる北極圏でない限り、夜の暗くなる時間に出現さえしてくれれば、夏でも見ることができる。最初は一本の光の筋が蛇のようにくねっていただけだったが、徐々に明るさを増し、頭上に光の束が集まると、龍のように舞い始めた。深夜4時を回ると、ついには、空全体が脈打つように明滅を繰り返す光のシャワーとなった。結局この夜のオーロラは勢いを保ったまま、朝の7時に空が白み始めてもなお、カーテン状に揺らめき続けていた。オーロラの名の由来は、ローマ神話の暁の女神アウロラ。バラ色の指を持ち、兄の太陽神に先駆けて天空の門を開く。その名にふさわしい輝きを、夜明けの空に見た。空に舞う暁の女神ノースウッズに魅せられてせられてせられて写真家写真家 大竹英洋英洋英洋Vol.Vol.Vol.070707写真家大竹英洋(神戸市在住)北米の湖水地方「ノースウッズ」をフィールドに、人と自然とのつながりを撮影。主な写真絵本に『ノースウッズの森で』(福音館書店)。『そして、ぼくは旅に出た。』(あすなろ書房)で梅棹忠夫山と探検文学賞受賞。2020年2月、これまでの撮影20年の集大成となる写真集『ノースウッズ 生命を与える大地』(クレヴィス)を刊行予定。16
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