KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年1月号
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その手前です。脳の考えは、自我的なものです。身体は脳とちがってもっと正直です。身体はウソはつかないですが、脳はいくらでもウソをつく。今は脳社会。脳が問題を起こしたりする。そうじゃなくて、身体が、身体自体を脳に置き換えてしまった方がいいんです。ぼくはそれを「肉体の脳化現象」と呼んでいます。肉体を脳化してしまう。身体は考えはしません、感じるだけなんです。―作品の中には、B︲29やマッカーサーなど、戦争に関わる絵も印象が深いのですが、平和への思いは強いですか。人がものを創るときの根底に、何か思想があるとしたら、それは「平和」しかありません。なにも声を大にして、平和、平和と言わなくても、ものを創る、描く、それ自体が平和の原理そのものなんですよ。そこにさらに平和、平和!と積み重ねて言うから逆におかしくなってしまう。「創る」ことは「平和」なんです、戦争じゃなくて。死を描いていても逆に生を描こうとしてい32

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