KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年1月号
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連載 カワムラの"神戸ビーフ"への思いビフテキのカワムラ 三宮本店神戸市中央区加納町4-5-13ヌーバスピリット1階TEL:078-335-0399FAX:078-335-0605神戸ビーフが導いた東京進出への道2006年に三宮本店をオープンしたことにより、カワムラは三宮界隈でそれまでの3倍近いキャパシティを持つことになるが、想像していた以上に客足が伸び繁盛した。その大きな力となったのは創業者、川村春二の愚直とも言えるくらいの本物の神戸ビーフへ対する情熱だ。2005年にアメリカで2度目のBSE(牛海綿状脳症)が発生、米国産牛肉の輸入停止で国産牛のニーズが高まり、中でもトレーサビリティが確かな神戸ビーフを扱うカワムラは信頼性の面から注目を浴びたのだ。しかも個室が新たなニーズを生んだ。本場・神戸の真ん中で、国際的に名高い珠玉のビーフを熟練のシェフが目の前で丁寧に焼き、その美味をタイル一枚にまでこだわった重厚で特別感のある個室で誰にも邪魔されず味わえることから、海外のVIPの接待にも愛顧されるようになり、大企業のトップがしばしば訪ねるようになった。そこから新たな展開が生まれる。すっかり常連になったとある世界的精密化学メーカーのトップがこんな本音を漏らした。「神戸ビーフは日本の宝だが、東京ではめったに本物を口にすることができない。国境を越えビジネスをおこなう我々は、カワムラが東京にあればどれだけ助かることか…」と。そして、東京へ進出するなら協力を惜しまないと約束してくれた。それまで春二は「神戸ビーフは産地の兵庫県で」という考えだったが、娘で取締役の佳子の勧めもあり、グローバル時代への対応も必要だと決断。ならば最も憧憬を集める場所にと、2009年、数寄屋橋交差点の1ブロック南に銀座店をオープンした。個室中心の隠れ家的な店づくりと神戸ビーフと但馬牛のみのメニュー構成でVIPにターゲットを絞ったが…。 Vol. 0512

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