KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年12月号
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た彼の言葉は嘘ではなかったのだ。一世紀以上の時を超え、ゴッホの絵画が神戸で蘇る。来年1月25日から、ゴッホの代表作など約40点を並べた「ゴッホ展」が神戸市中央区の兵庫県立美術館で開催される(3月29日まで)。彼の“筆使いや息遣い”までを確かめることができる貴重な機会になるだろう。この映画は実はゴッホ展から生まれた。シュナ―ベル監督は、パリのオルセー美術館で開かれていたゴッホ展に、友人の脚本家、ジャン=クロード・カリエールを誘った。ゴッホの自画像を間近で見たカリエールは「まるでゴッホと監督、私の3人で向き合っているようだった。作品の声が聞こえてきた」と言う。その瞬間、この映画の製作が始まった。「なぜ、絵を描くのか?未来の人々と自分が見たものを分かち合いたいから」劇中、ゴッホが語る、このセリフの真意を噛みしめながら、神戸の展覧会場で、彼の作品とじっくりと対話してみたい。【筆者プロフィール】戸津井康之(とつい・やすゆき)1965年10月4日、大阪府堺市生まれ。元産経新聞文化部編集委員。大学卒業後、日本IBMを経て、1991年、産経新聞入社。大阪本社社会部記者、大阪、東京本社文化部記者、文化部編集委員を経て2018年に退職し、現在、フリーランスの記者。産経新聞記者時代は紙面とネット連動の連載コラム「戸津井康之の銀幕裏の声」「戸津井康之のメディア今昔」などヒットコンテンツを手掛ける。”北欧の至宝”と呼ばれるデンマーク出身の俳優、マッツ・ミケルセンも聖職者役で登場する29

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