KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年12月号
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誇りを懸け、シュナーベル監督は映画に登場するゴッホの作品を自ら描き、また、デフォーとともにゴッホの筆使いまで研究し学んだといい、その成果を、劇中でデフォーが臨場感豊かに演じ披露している。晩年のゴッホが、憑りつかれたようにキャンバスに向かい、力強い線を一心不乱に描き上げていく姿は印象的だ。「なぜあなたは花を描くの?本物の花の方が美しいのに」。花を写生しているゴッホをそばで見ていた女性が質問すると、彼は静かに、こう答える。「この花はやがて枯れるが、僕の描いた絵は残るから」と。1987年、ゴッホの代表作「ひまわり」を、日本の生命保険会社が約53億円で落札したニュースが、当時、世間を賑わした。ゴッホが実際に写生したひまわりの花は、枯れて、もうこの世に存在しないが、彼が描いた「ひまわり」は、約130年が過ぎた今でも世界中の人が見ることができる。「僕の描いた絵は残る」と語っオスカー・アイザック演じる画家、ゴーギャン(左)とゴッホとの関係も対比的に描かれる28

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