KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年12月号
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事務所を始める前は、アルバイトでお金を貯めては、世界を旅してまわりました。古今の名建築巡りが主目的でしたが、ときに思わぬ場所で“傑作”に出会うことがありました。各地の土着の集落です。例えば、ギリシャのサントリーニ島。遠目には湾を囲む断崖が自然の白い彫刻のようでとても美しい。それが一歩中に入ると、立体迷路のように自由自在な街並みです。立地を最大限生かして“全体”の統一感と、生き生きとした“部分”の両方を実現している、まさに「この場所にしかできない」風景だと感動しました。そのイメージがずっと心にあったからでしょう、1970年代末、六甲山の麓につくる集合住宅の設計依頼を受けたとき、すぐに急斜面に張り付く建築のイメージが浮かびました。クラ建築家 安藤 忠雄by 閑野欣次兵庫県のANDO建築探訪 ⑫六甲の集合住宅神戸市灘区 1983年Ⅰ期完成/1993年Ⅱ期完成/1999年Ⅲ期完成16

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