KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年11月号
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機会を奪われているように見えるからです。だから、子どもの施設を設計するときはいつも、決まった機能がない“余白”の空間を中心に考えます。1989年に完成した《兵庫県立こどもの館》は、私がつくった最初の子供のための建築でした。本館と野外広場、工房をあえて引き離し、間を散策路でつないで、桜山湖畔の全長500メートルの敷地全体が“遊び場”となるように設計してあります。傑作は、施設オープンにあわせて始まった「児童彫刻アイディア国際コンクール」でした。世界各国の子どもに彫刻の原画を募り、受賞作を造形作家の新宮晋さんが具現化する企画で、2007年までに約20体、子どもらしい想像力に満ち溢れた作品が生まれました。開館30周年を迎える今年、再びこの企画が復活します。今の子どもがどんな創造力を見せてくれるか、楽しみです。■兵庫県立こどもの館兵庫県姫路市太市中915-49■兵庫県立 こどもの館山陽自動車道山陽姫路西IC太子上太田IC●桜山公園国道2号線国道29号線JR余部JR太市19

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