KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年11月号
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連載 カワムラの"神戸ビーフ"への思いビフテキのカワムラ 三宮本店神戸市中央区加納町4-5-13ヌーバスピリット1階TEL:078-335-0399FAX:078-335-0605カワムラのブランドを盤石に昭和後期~平成前期重厚な煉瓦。深紅の絨毯。革張りの椅子。1975年にオープンした神戸本店は、北野あたりの洋館のような空間づくりもまたカワムラのイメージを醸成させ、マイカーで気軽に行ける場所にありながらまるでお屋敷に招かれて本格ステーキをいただくような贅沢な体験ができると評判は上々。創業者の川村春二は自らの路線に自信を深め、1978年に法人化し組織を強化。さらに店舗数を拡大し、ビジネス面でも飛躍を目指した。その嚆矢となったのは1978年の加古川店。この街は神戸と並ぶ神戸ビーフの集散地で、名物のかつめしも牛カツという肉にうるさい土地柄だ。そんな加古川の人たちの舌を満足させたことで、ますますカワムラのクオリティの高さが証明された。さらに生産者や仕入れ業者との信頼を積み重ね、質の高い神戸ビーフを安定的に入手できる強みを生かし、1984年、神戸本店内にしゃぶしゃぶ・すき焼きを味わえる和牛亭をオープン。ステーキ以外の業態にもトライした。そして1987年、阪神間屈指の高級住宅地を擁する西宮に出店。山の手に邸宅街が広がる芦屋や宝塚に隣接するだけでなく、店の目の前の国道171号を経て池田や箕面、豊中といった北大阪の富裕層にもリーチし商圏を大幅に拡大。さらに2001年には発展する姫路市役所周辺の一角に姫路店を開業した。ブランドが確固となる一方で、本物の神戸ビーフのカワムラだからこそ神戸の中心、三宮でという人も多くなる。そんな声に春二は万全を期して応えた。秀吉が四方を囲んで小田原城を落としたように、家康が堀を埋め大阪城を攻略したように、カワムラは郊外で実績を積み上げて2003年、満を持して三宮のど真ん中に進出する。 Vol. 0314

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