KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年10月号
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―数年前から本格的に絵を描き始めたそうですね。取引先のお世話になった方が転勤されると聞き、バラの絵と崩した文字でメッセージを描いたカードお渡ししたらすごく喜んでいただきました。子どものころはただ自分が楽しいから絵を描いていたので、「僕が描いたものでこんなに喜んでもらえるんだ!」と初めて気づき、本格的に絵を描こうという気持ちになりました。―小さいころから絵が好きだったのですね。描くことはもちろん好きでしたし、祖父が絵画のコレクターでしたので本物のいい絵がごく身近にありました。美術館へもよく連れて行ってくれていました。そこから得たものが、今の僕の絵のあちらこちらに反映されています。―すごく斬新で、古さは感じませんが…。新しいものは古いものとの組み合わせで生まれるもの。ヒントをもらって、そこから自分なりの新しいものが出来上がってくるのだと思います。―色使いが独特ですね。色のバリエーションが他の人よりもたくさんあると、子どものころから気づいていました。「あか」とか「グレー」とか言うけれど、僕には微妙に違ういろんな「あか」や「グレー」があり、その色たちの配置やバランスがすごく気になって仕方がないんです。―絵の中の色が意味するのは。色は全て感情を表しています。観る人に楽しくなってほしいというのが原点ですから、ほとんどがポジティブな感情です。ハートの瞳には愛が満ちています。が、ちょっと不安な気持ちがのぞいている色もあります。きっと感じてもらえると思います。―たくさんの色を使って表現する絵ですね。実は僕が目指すのは「削ぎ落とす」。「こんなにたくさんの色を使って?!」と思うでしょう?でも必要のないところには、何もないです。一色で塗るだけだったり、キャンバスの生地そのままだったり。1枚の絵の中に描いているものは全てそこに無くてはならないものだから、それ以上のものがあっても駄目なんです。僕にとって配置はすごく大切なんです。―日頃から、色や物の配置が気になって疲れるのでは。自然の中にあるものがバリエーション豊富な色で目に入ってくるし、街の中にある物も「この横にこれを置くのはやめてほしいなあ」などと気になって…疲れますよ(笑)。―感覚的に刺激を受ける街は。ニューヨークです。「あの街で僕の絵に対してどんな反応があるだろうか?」。今、一番知りたいことです。2年後にNYでアートフェアに出展することを目指しています。45

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