KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年9月号
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つ意味合いを、着任してから2年間、スタッフに語りかけてきました。この理念に基づけば、自ずと働く姿勢が決まり、日々の振る舞いが決まり、お客様への対応が決まってくる。判断基準になる、立ち戻ることのできる経営理念を持っていることが、一番の強みでしょうか。神戸観光の方向性―大倉財閥創業者・大倉喜八郎など神戸との関わりも深いホテルオークラですが、30年前、神戸の地に開業した経緯は。ホテルオークラ東京の開業が1962年。その25周年記念事業として、神戸にホテルを開発するプロジェクトがスタートしました。当時は、神戸空港が国際空港として開港する計画もあり、将来的にその集客も見込んでの進出だったと思います。開業後しばらくは順調でしたが、震災やバブル崩壊、リーマンショックと、さまざまな転換点を経て、現在に至っています。私が2年前まで東京にいたときは、関西ではインバウンドのお客様が大変多く来られていると聞いていたのですが、神戸はそうでもなく、当ホテルではインバウンドは宿泊客の人数ベースで2割を超える程度。京都、大阪とはだいぶ違うのだなと、意外に思いました。―観光地としての神戸の課題についてどのようにお考えでしょうか。神戸は住みやすい街かもしれませんが、観光地としてどうかと感じる部分は多いですね。長い歴史のある歴史的建造物も少ないですし、滞在する理由が少ないと感じられてしまう面があるのは否めません。海や山もきちんと観光資源化されているとはいえないと思います。もっと積極的に、はっとするような手を入れてもいいかもしれません。例えば、六甲山から海までロープウェーを伸ばすとか(笑)。神戸は、関西圏の他の観光地のように、単価の安いインバウンドを追いかけるような観光政策をとるのはどうなのかなとも思います。逆に神戸の良さがなくなって、日本人すら来なくなってしまう。医療ツーリズムの話も人間ドッグだけではなく、六甲のゴルフを組み込んだり、有名な海外スパブランドを誘致して、単価の高いお客様がより長く滞在いただける理由を作っていくなど、量を求めるのとはもう少し違う方向性も必要かと思います。―メリケンパークなどウォーターフロントの整備も進みますね。35Fフレンチ「レストラン エメラルド」46

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