KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年9月号
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のは、ドームのような屋根がついたグラウンドでやると良くないんですよ。番狂わせが少ないスポーツなので、雨とか暑さとか湿度といった外的要因があった方がいい。もちろん日本に不利になる場合もありますが、何かそこに隙やミスが生まれたりしてゲームがひっくり返る可能性が出てくるわけです。それが楽しみです。しかしスコットランドもそうですが、サモアもとても強いチームです。メディアではサモアには勝つということが前提みたいになっていますが、ぼくは五分五分だと思います。選手たちもそれはわかっていると思いますが、油断はできませんよ。―2連覇中のニュージーランドが優勝候補でしょうか?今回のニュージーランドは、圧倒的に強いというわけではありません。アイルランドは安定して強いですし、南アフリカも調子が上がってきています。ですから大本命というチームがなく、どこが優勝してもおかしくない。非常に面白いW杯になると思います。―今回のW杯の誘致にも尽力したのが平尾誠二さん(故人)ですが、関東出身の増保さんが神戸製鋼に来られたのも平尾さんに口説かれてですか。日本代表で一緒にやっていて、可愛がってもらいましたが、本当に格好いい人でしたね。ラグビーも勿論上手いですが、人をまとめる力もあるし、会話もウィットに富んでおもしろくて、人としてバランスがとれた人でした。平尾さんの何が素晴らしいかと言えば、スキル的なことは勿論ですが、判断力であったり、ゲームの読みが優れていて、非常に広い視野を持っていたことです。平尾さんは、神戸製鋼の優勝と、W杯の成功、これが自身の最大の目標でしたから、ぜひ今回の大会を成功させて、平尾さんに恩返しできればと思います。―ラグビーの醍醐味はどんなところにありますか。ラグビーというのは非常に制約の少ないスポーツで、ボールを持って走れるところまで走り、それを止めるために肉体と肉体がぶつかり合います。昔は、国と国との代理戦争であったという歴史的な経緯もあります。自分たちが戦えないので選手たちに思いを託した、そういう国と国を賭けた激しさというものを見ていただきたいです。特にW杯は、選手たちは国を代表しているという思いが大きいですから、いつも以上の力を発揮しますので、そういう迫力とか、スピードを目にしていただきたいですね。できれば試合会場に足を運んでいただき、両国の国歌を聴いて、キックオフがあってという一連のプロセスを体験してほしい。これはなかなか日本で見られることではありませんので。今回、W杯の選手を受け入れる開催都市で各国の国歌を覚え、国歌斉唱のときにスタンドで一緒に歌おうというプロジェクトを進めていますが、こういうおもてなしもとても良いことだと思います。33

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