KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年9月号
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行くという流れをつくるために3空港一体での取り組みが重要です。―東京オリンピック、大阪万博の影響はどうでしょうか。2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックでは、競技は市内中心でしたが、文化関連事業は国内全域で開催され、観戦に訪れた人たちは他都市も巡りました。そうした人の流れを見ると、東京へ来た人も全国を回ると考えたほうがいいでしょうね。21年以降については、25年の大阪・関西万博に向けて考えるべきです。私は経産省の大阪・関西万博具体化検討会の委員として夢洲の会場予定地へも行きましたが、対岸が尼崎、遠景にポートアイランド、その間には六甲アイランドもあり、神戸・阪神間が近いと実感しました。神戸に泊まって船などで万博へ行き、さらに夢洲と尼崎のルートを整備すれば、IR実現後の兵庫県全体の活性化につながるのではないでしょうか建物を造る。次に重要なのはプラスアルファ―ウォーターフロントもハード面で充実してきました。どうご覧になっておられますか。震災後のまちづくりについては短期間にビルを建て直すことに重点を置いてきました。都市型災害であったがゆえに致し方ないことですが、港周辺の古いビルも無くなり画一的になってしまったのは少し残念ですね。また、まちに音楽と絵画を取り入れるとしていましたが、兵庫県立美術館と兵庫県立芸術文化センターを集約して道路網を整備できていればもっと違った展開になっていたのではないでしょうか。王子動物園から兵庫県立美術館への道路をミュージアムロードとしていますが、これには安藤忠雄さんも賛同し、協力もされています。更なる緑化や、沿道へのデザイナーによる出店など、官民一体の取り組みでエリアの魅力が一層高まることを期待しています。―三宮周辺に文化ホールや百貨店が充実しますね。まちで最先端のものを見て買い物はネットでという時代です。消費してもらうためにはプラスアルファの仕掛けが必要です。例えば阪急うめだ本店のコンセプトは「暮らしの劇場」です。年間を通じて多くのフェアを開催し、お客さんはついでに買い物をします。建て替えをして「買い物に来てください」というだけでは、今の人たちの行動パターンには合いません。食べる、見る、聴く、鑑賞するなどというコト消費による価値をどう付け加えられるか?これが今後の大きなポイントです。―芸術文化に関してご自身が楽しみたいことは。28

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