KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年7月号
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―米朝師匠から直接、落語を教えられたのですか。吉弥直接稽古を付けてもらったというわけではなく、落語家桂米朝をそばで見ることが何よりの勉強でした。どんな心構えで寄席に臨んでいるのか、日によってお客さんによってどんな演目を選ぶのか、どんなまくらを喋るのか等々、寄席が終わって車を運転しているとき、寝る前にマッサージをしているとき、米朝師匠が突然ポツリ、ポツリと話すこと全てが、今の僕にどれだけ役立っているか…当時は気付かなかったのですが。吉朝師匠からのひと言「全部忘れなさい」―吉朝師匠には直接稽古を付けてもらったのですか。吉弥通いで3年間に10本の落語の稽古を付けてもらいました。目の前で師匠がやっているのを見て、フレーズの間や声のトーン、一言一句まで完全にコピーしないと次に進めません。普段の生活では細かいことは言わない師匠でしたが、落語に関しては厳しくて、「ちょっとぐらい違ってもいいんちゃうか」と思いましたが、今となってはありがたかったですね。―今の若い人には「見て覚えろ」は通用しないでしょうね。吉弥人それぞれですから、僕にとっては良かったと思っています。大学の落語研究会でやった噺はいくつあるかと聞かれて、「つる」「道具屋」「植木屋娘」46

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