KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年7月号
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ことで、日本とカリフォルニアを繋ぎたい、そういった想いも持って取り組んでいます。隆英さん ビジネスと意識してからは彼女の方が主導権を握って切り盛りしています(笑)。ラベルに漢字をほどこしたシリーズやPaul Lato氏が造る『心ワイン』の書も彼女が書いているんですよ。おかげさまで、唯一無二の味とラベルデザインに世界から評価をいただけるようになりました。…普通、ワイナリーを作るには、醸造所や畑が必要です。隆英さん 僕たち自身はブドウ畑も醸造施設も持っていませんので、カリフォルニアでもトップクラスのワインメーカーにコンセプトをお伝えしてつくってもらっています。ワインメーカーさんとの出会いは2002年。当時、麻布十番でカリフォルニアワインだけに特化したレストランを経営していた時に、2人で現地に足を運び、彼らが作り上げたワインを日本の僕たちのお店で提供していました。今では超人気ワイナリーに成長されましたが、無名時代だった頃からの縁で、ずっとお付き合いしていただいています。…お二人の人柄によることも大きいのでしょうね。ワインのコンセプトは、どのようなものですか?美代子さん 例えば、『ヒラメの昆布締めに合うシャルドネ』とか和食・日本人の口に合うワインをめざしています。ワイナリーの彼らは外国人ですが、私たちより日本のことを知っています。日本贔屓なので心配はないですね。ワインメーカーとテイスティングして味を決めていきますが、こちらに専門知識がないからこそ先入観なく、つくることができるのだと思います。自分のそのときの舌だけの感覚で美味しい、料理に合う味を見極めていきます。…奥様は最高の頼れるパートナーなんですね。隆英さん はい、僕はそう思っています(笑)。美代子さん ただし最初から商売が順風満帆だったわけではありません。ちょっと高くてもそれだけのお金を出す価値があると認めてくださる方が少しずつ増え、プレゼントに使っていただき、受け取った人がご自身で購入されて…という具合に広まっていきました。娘が三好先生のお料理サロンに通わせてもらったことで、三好先生のパーティで使っていただくなど、ワインが様々な縁をつないでくれました。…JAL国際線のファーストクラスでも提供されていますね。美代子さん 当時採用されていたワインの人気が高まり品薄で供給できない状況になり、うちのワインに白羽の矢が立ちました。それもラッキーな偶然が重家紋「丸に違い鷹羽」をシンボルとしたワイナリー「シャトー・イガイタカハ」の家紋ワイン32

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