ション・デザイナーのコシノ・ヒロコさんで、基本的な住まい条件以外は「自由に考えてくれ」といわれました。自分なりの建築の理想を追求する絶好の機会をもらった私は、建築と庭をどう関係付けるか、西洋的な壁の建築と日本的な自然に拠る感性の重ね合わせは可能か、〝光”を追い求めるだけで建築は出来るか――など、自身の心の内にあった建築のテーマを徹底的に考え抜いた末、木々の間に埋もれる〝コンクリートの光”の住宅をつくりました。個性的な分、一般的な感覚からすると〝不便”もあり、特に子どもには 〝厳しい”住まいだったと思います。しかし、コシノさんは「そのストイックさが、人間の感性を刺激するのだ」と全てを受け入れ、お子さん達が巣立つまで、ずっと変わらぬ姿で住みこなしてくれました。2006年には大幅に改築、現在はご自身のギャラリーとして活用されています。思い切った建築が生まれる、その原動力の半分は、やはりクライアントの力だとつくづく思います。19
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