KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年6月号
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タリア系ビスポークの草分けとなった。分業が当たり前の長田の職人たちはすべての工程を一貫しておこなうスタイルに一抹の懸念を抱きつつも、熱い励ましと温かい支援を惜しまなかったという。当初はオーダーが少なく苦労したというが、セレクトショップへ積極的に営業をかけて販路を開拓し、そこから高いクオリティが口コミで広がっていく。その輪は神戸にとどまらず東京でさらに広がり、SNSの牽引もあって気づけば香港やマニラ、ハワイやニューヨークへと海を越えていった。本物には国境はない。長田のものづくりの魂がイタリア仕込みの技と融合し、震災から立ち上がったこの街に新たなモデルケースを確立。壊滅的な被害を受けた長田の靴づくりは不死鳥の如く甦っただけでなく、あの日の青年が世界へと通じる新たな一筋の道を、努力と才能、そして情熱と絆で切り拓いたのだ。未来に評価される一足をシューズは工芸品であるとと世界に一つしかない靴を作り上げる。右上の紳士靴は、左右のベルトの位置をあえてふぞろいに仕立てている。遊び心もファッションとなる27

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