パターンの仕事を学びつつ、近所の靴メーカーでアルバイトを重ね技術を覚える毎日を過ごすうち、知れば知るほど靴づくりの魅力に惹かれるとともに、〝このままではいけない〟と、違う環境に身を置きたいという思いが芽生える。そんな1997年のある日イタリアへ渡り、ビスポークの紳士靴と出会い衝撃を受け「自分がやりたいのはこれだ!」と確信、フィレンツェの職人に弟子入りする。新たな靴づくりの道その師こそ今や世界屈指の靴職人との誉れ高いロベルト・ウゴリーニ氏だが、当時はまだ若く無名で、鈴木さんは最初の弟子だった。職人として伸び盛りの師匠のもと、鈴木さんは靴づくりのすべてを習得するだけでなく、工芸の街フィレンツェに息づくクラフトの空気を思い切り吸収する。そして3年後、確かな技術と研ぎ澄ませたセンスを手にして長田へ戻り、靴づくりをはじめ、神戸はおろか日本においてのイ2階から作業場をのぞく。静寂の中、トントンと槌音が鳴り響く26
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