KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年5月号
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新神戸駅近くに移転してから4年半がたった、竹中大工道具館が私のおすすめです。美しい庭園と深い軒に目移りしながら入口の扉をくぐると、館内の意外な奥行に驚きを覚えます。展示室に進むと、大工道具の一つひとつに映像も交えた丁寧な説明が添えられています。使いこまれた道具の数々を見つめると、その道具自体を手作りし、使い続けた職人さんの心が伝わってくるようです。建てるという行為の背景に広がる豊かな道具の世界が、私のように建築に関わる方だけでなく、世界中から訪れる人々の心をとらえています。竹中大工道具館のように、専門分野に絞って普遍的な価値を伝えてくれる博物館がもっと増えたらいいなと感じています。345612014年秋、新神戸駅近くの竹中工務店ゆかりの地で移転オープンした 2大工道具を通して、日本人ならではの美意識や心遣いを紹介する 3大工道具の種類や仕組み、使い方を紹介する「道具と手仕事」 4鑿や鉋など様々な大きさや形のものが並ぶ 5唐招提寺の模型を展示する「棟梁に学ぶ」 6優れた大工道具が放つ用の美を紹介する「名工の輝き」村上 豪英(むらかみ たけひで)神戸生まれ。シンクタンク勤務を経て、現在は株式会社村上工務店代表取締役。東遊園地の社会実験「アーバンピクニック」や神戸モトマチ大学などを主催。31

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