KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年4月号
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入り、火入れ機で80度になった後、熱交換器で放熱して50度になってタンクに入ります。火入れ機は今まで20度から80度まで60度上昇の加熱をしていたものが、30度上昇で済むことになり、その結果醤油の流速を2倍にすることが出来ました。勧告通りに実行された結果次のような利益が得られました。1)ボイラーの新設が不要しいホーロー引きの高温の大きなタンクがずらりと並び、輻射熱で長時間は居られない状況でした。案内の人に聞くと以前は木製の桶だったのでこんな事はなかったそうです。ボイラーは1トンのコルニッシュボイラーで、燃料は木屑でした。蒸気の用途は常温の醤油を80度まで上昇させ、その後徐冷する『火入れ』という作業のためでした。徐冷とは言いながら工場の中が暑くてたまらない事から、高温域では今までより急冷されているわけで、担当の人に尋ねた処、『50度迄なら急冷してもよい』という回答を得たので、ボイラーはそのままにし、プレート式熱交換機とポンプを新調することとし、醤油は最初に常温でプレート式熱交換機に入り、火入れを終った80度の醤油から熱をもらって30度上昇して50度になってから火入れ機に平生先生の教えの実践旧制甲南高校17回理科卒業 泉名 榮一さん私にとって平生先生は私の生涯を創ってくださった大恩人です。先生の教えの最大のものは個性尊重だと思い、生涯その実践に努めました。一例をあげれば昭和31年和歌山県の要望により、大阪の工場より県工業試験所へ転職して間もない時のことです。食品部から依頼があり、醤油工場で、蒸気不足のため残業時間が長くなっているので、ボイラーを大きいものに変えたいので、選定してほしいというものでした。訪問した処工場の中は真新平生先生の教えを思う甲南学園100周年46

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