KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年4月号
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野生動物は命がけで生きていますから、人間に出会いたくないし、警戒しているんです。実は現地の先住民もオオカミを特に恐れているわけではないんです。僕たちは「赤ずきんちゃん」の刷り込みで、いつも血に飢え人間を襲うイメージですが、オオカミにとって人間を襲うことは命がけ。人間の匂いなどしようものなら距離を取るんです。だから20年も通って6~7回しか出会っていないんです。でも最近ではオオカミの遠吠えをマネして近づこうとしています。見通しが悪い森で、動物をどう撮影しようかと考えたとき、音でコミュニケーションを取っているとわかったんです。腕利きのハンターに教えてもらって、メスの鳴き声でヘラジカのオスを呼び寄せることもあります。ある時、花の撮影をしていたのですが、機材を取りに行ったとき、獣道にクマが来ていたみたいなんですね。僕はそれに気づかず、向こうがビックリしたみたいで吠えて逃げていきました。自分の存在を知らせておけばよかったと反省しました。子鹿が教えてくれたことどの動物も個性があって、出会い方も違います。だからどの動物が印象に残っているか?と問われると選べないんです。でも敢えて選ぶならば…ノースウッズに通い始めた翌年の2000年に、森の中で子鹿を踏みそうになったんです。たまたま倒木を乗り越えようと脚を上げたら、そこに子鹿が寝ていたんです。でも逃げないでまったく動かない。ケガでもしているのかな?と心配だったんですけれど、カメラを構えたんです。そしたら目を開けて見つめ合って。後でわかったんですが、生まれたばかりの子鹿は誰に教わる訳でもなく、危険を感じると身を伏せ気配を消して、危険から身を守る子鹿アスペンの木の上で、母グマの帰りを待つクロクマの子どもたち26

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