KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年4月号
17/53

でした。プランをまとめて住職、檀家に説明すると「御堂を水の下につくるなど罰当たりな」と猛反対を受けました。こちらも譲らないので、困った檀家代表が、大徳寺の立花大亀大僧正という、当時90才を超えられていた高僧に意見を乞うと、大僧正は「仏教の原点である蓮の中に入っていくのは素晴らしい」と。その一言で状況は一変、はじめに思い描いた通りの形で《本福寺水御堂》は完成しました。蓮池下の御堂内部は、回廊から本堂まで、すべてを朱色に仕上げられています。本尊の背後から入り込む落日の光が空間全体を朱色に染め上げ、極楽浄土の世界を現出させる。これは兵庫県の小野市にある、重源がつくった浄土寺浄土堂の作法にならったものです。完成からもうすぐ30年、蓮池の御堂はひそやかに、しっかりと、地域に息づいています。■淡路夢舞台兵庫県淡路市浦13102831淡路夢舞台●本福寺 水御堂 ■明石海峡大橋神戸淡路鳴門自動車道淡路IC東浦IC●道の駅東浦17

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る