KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年2月号
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親が手を差し延べるほど、弱い子に育ちます。自立心や、責任感を持った子どもを育てないと社会は成り立ちません。街づくりも大切、でもその前に人を育てることはもっと大切だと思います。「青いりんご」を忘れずに、100歳まで青年でいよう!瀬戸内海の直島という小さな島に現代アートの美術館をはじめ関連するいくつかの建築を造りました。実はお話を聞いた魚釣りするか、トンボとりをするか、喧嘩をするか…。成績は600人中、5番をキープしていました、下からですよ(笑)。それでも勉強一番の子とは仲良し。何故かと言えば、喧嘩が一番だったからです。皆さんもぜひ、お孫さんには「勉強はもういいから勇気を持って自由に生きろ」と言ってあげてください。街づくりは大切。でも人を育てることはもっと大切ほとんどの親は子どもに絵を見せたり、音楽を聴かせたりすることもなく、ひたすら塾に行かせています。兵庫県では芸術文化センターや美術館が頑張っているのですから、そういう所にお子さん・お孫さんを連れて行ってください。芸術や音楽や映画等々、浅く広くいろいろなことに興味を持って生きていかなくては。ところが、文化に興味がない人が多い。それで生きていけますか?恐らく子どもたちにもっと多彩なことを体験させたら、全く違う育ち方をしてくれると思いますよ。とき、あまり乗り気ではなかったんです。「電車や船を乗り継がないと行けない島に人が来るわけがない」と思っていましたからね。ところが、当時ベネッセの社長だった福武總一郎さんが、「絶対に人は来る!」と言うんです。その意志と勇気と持続力には感服しました。直島を世界有数の芸術文化の島に育てたのは、ひとえに福武さんの信念です。今では3年に1回開かれる瀬戸内芸術祭の中心となっています。兵庫県立美術館に、増築棟をつくっています。そこに、青いりんごのオブジェを設置しました。「青いりんご」は10代、20代のころの熱意の象徴です。60代になって忘れかけても、県立美術館に来て「青いりんご」を触ったら熱意がよみがえってきて、100歳まででも青春を生きられるはずです。楽しく生きていくためには肉体的体力だけでなく知的体力が必要。あと、どんな時でも希望を持ち続けることが肝心です。兵庫、大阪、京都、それぞれ個性のある関西の街には希望がある。私はそう信じています。23

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