KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年1月号
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りのバランス感覚も絶妙でしたね。偉大な名跡を継いで─「文之助」という高座名は由緒あるものですが、どのような経緯で襲名したのですか。文之助明治の頃に活躍した二代目文之助は噺家としても大きな存在でしたが、その傍ら京都で「文の助茶屋」を立ち上げたんですよ。いまも続いていて、わらび餅が人気なんですが、そこの顧問税理士がうちの師匠の甥で、入門した頃からよく知っているんですけれど、彼が「文之助」を継いだらどうやと言うんです。でも商売をされているから迂闊に誰彼に継がせないだろうし、系統も違うし、僕は「無理や」と。ところが彼が話をしてみたところ、文の助茶屋と米朝師匠が昔から懇意だったこともあったからでしょうか、OKが出まして。噺家で襲名できる人は一握りですし、謹んで承りました。年齢的にも最後のチャンスでしたしね。「文」と41

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