KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年1月号
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其の八「神戸で落語を楽しむ」シリーズ落語は温泉みたいなものもともと小さい頃からお笑いが好きだったようで、親の話では物心つく前からラジオの演芸番組を聴いて面白がっていたみたいです。子どもの頃はテレビの黎明期で、演芸番組が多かったんですよ。それを観て興味を持つようになり、中学生の頃には笑福亭仁鶴師匠とか月亭可朝師匠、いまの桂文枝師匠とかが活躍して落語ブームになって、それに影響されてでしょうかね。─なぜ枝雀師匠に弟子入りを。文之助単に面白いと思ったからです。はじめ米朝師匠が好きでよく聴いていたんですけれど、枝雀師匠は米朝師匠の弟子ですから間に出てきて、斬新なマクラとか特異なやり方とかが面白くて。枝雀師匠に弟子上方の爆笑王に弟子入り─ご出身は神戸だそうですが。文之助長田です。もちろん新開地にも近くて、僕は覚えていないんですけれど、子どもの頃に親に連れられて全盛期の松竹座に行ったそうなんです。─兵庫高校のご卒業だそうですが、どんな学校でしたか。文之助割と自由な校風でしたね。私服もOKでしたから。みんな進学するのが当たり前なので、噺家を目指した僕なんて変わり者で(笑)。─ということは、高校時代には入門の決心を。文之助高校時代に桂枝雀師匠へ弟子入り志願に行き、卒業してから内弟子になりました。入りすれば米朝師匠の孫弟子にもなれますしね。─でも枝雀師匠はなかなか弟子を取らなかったそうですが。文之助すぐに弟子にするのではなく、様子をみる期間がありました。僕が弟子入りした直後からいっぱい志願者が来たんですが、もうこれ以上はちょっとと増やせないと断った方もいたようです。師弟関係もタイミングとご縁が大切なのですね。─枝雀師匠はどんなところがすごいと思いますか。文之助まず、圧倒的に笑いが多い。ただそれだけじゃなく、演じているときの人間の喜怒哀楽に対する感情が突出している気がします。ただ突出し過ぎていると噺が壊れるので、そのあた落語家さん桂文之助40

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