KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年1月号
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一般流通で15万食以上は出荷したんじゃないでしょうか。延べ15万人以上の方の手に渡ったと思うと、商品を通じて福祉や有機農業の現場を伝えることができたかなと思っています。…飲食業ほか、障がい者雇用促進セミナーにも注力されています。日本には936万人の障がいのある人がいて、そのうち世の中に就労が難しい障がいがある人は350万人以上いると言われています。障がい者手帳をお持ちでない方も合わせれば、その3~5倍は存在すると言われます。そこで自分の経験や知識を発信することで、わたしにできることは小さいけれど、もっと社会的にインパクトのある大きな雇用を生みだしていければと、障がい者雇用に熱心に取り組んでいる企業や、ダイバーシティ経営を目指す上場企業向けのセミナーやコンサルティングを実施。首都圏中心ですがたくさんの雇用につながりました。大手企業さんだけでなく地元の中小企業さんなどでも、障がいのある人の特性やニーズにあった働き先が増え、障がい者雇用や合理的配慮を考えることが普通になる社会づくりに貢献したいと思います。…「障がい者への支援」と「有機野菜」の二つを軸にお仕事を展開されていますね。国際有機農業運動連盟IFOAMによる有機農業の原理があります。健康の原理、生態的原理、公正の原理、配慮の原理からなり、例えば健康の原理ならば、人のみならず土や動物、地球環境も含む、すべてが健康でなければならないというもの。その他の原理も同様に皆の共存共生を考え、4原理が満たされてこその有機農業という考えです。有機(オーガニック)=農産物のことだけでなく、畑から食卓までの有機的なつながりを含め、土の耕し方、農作物や加工食品の買い方、食べ方、働き方全てを包括した持続可能な生き方を目指しています。この原理に照らし合わせると、私の仕事の有機農家さんたちがつくる農産物を商品化して付加価値をつけることも、障がいがある人の仕事づくりをすることもオーガニックな生き方の推進に含まれるということです。…なるほど、福祉も農業も共対談ホスト役の三好万記子さん(写真右)と福井佑実子さん(写真左)。お二人の出会いは13年前、30歳代のビジネスウーマンが集う交流会で。有機農家さんの課題を相談した福井さんに、会の主宰者が料理をケータリングされていた三好先生を紹介したことがきっかけでした。34

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