KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年1月号
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…障がいのある人たちが、障がいなく働く環境づくりを行っておられる福井さんですが、このお仕事を始められたきっかけは?もともと働いていた国立大学では産学連携を担当していました。まだCSRなどなかった当時、有機農家さんの厳しい経営状況や、障がいがある方々の自立・社会参画の低さなどの社会課題を目の当たりにしました。しかし、いざ何かお手伝いしたいと思っても、検討すべきデータが全くなく現状が把握できないんです。そこでまず厚生労働省の研究に参加し、障がいとは何か、障がいにはどういった特性があって、どういった合理的配慮のある環境ならば、彼らの実力を引き出し、発揮できるかを整理することから始めました。…それが私もレシピづくりをお手伝いさせていただいたお弁当事業ですね。はい、「厚生労働省障害者自立支援調査研究プロジェクト」の現場となったオーガニックのお弁当宅配事業です。農家さん直送の有機野菜を使って障がいのある方がお弁当をつくり、注文を頂いた企業に宅配していました。障がいがある方の障がいを「ある」から「ない」に変える働く環境づくりは福祉施設と大学とシンクタンクで、レシピは三好先生、その他にもいろいろな方に助けていただきました。…有機野菜ならではの濃い味を活かした味付けや彩り、栄養、頭を悩ませたレシピづくりでした(笑)。現場で皆さんがイキイキと働かれていたことが印象的です。その後、2008年に会社を設立され、「オニオン・キャラメリゼ(玉葱飴色炒め)」に取り組まれました。ヨーロッパでは料理の下味として重宝されている炒め玉ねぎは、一つの作業を丁寧かつ確実にこなす障がいのある方達の特性を活かした素晴らしいアイデアだと思いました。「オニオン・キャラメリゼ」はレシピおよび商品名も三好先生のご考案です。障がいのある人が作ったからではなく、商品に魅力を感じて買っていただけるよう、淡路島産で有機認証を取得し栽培されている玉ねぎ生産者から規格外の有機玉ねぎを約束した量を毎年買い取る契約をしました。素材が最上なので塩も油も使用せず、純粋に有機玉ねぎだけで濃厚な甘味を出しました。おかげさまで33

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