KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2019年1月号
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大阪の下町育ちの私にとって、子どもの頃からずっと、神戸は華やかでまぶしい存在でした。実際、海と山にはさまれた地形ならではの風景、明治の開港以来のモダンな生活感覚など、神戸には“ここにしかない”個性、魅力があります。北野町は、そんな風光明媚なハイカラ都市を象徴する観光スポットです。青い海を望むなだらかな坂道、エキゾチックな異人館。美しく、歩いて楽しい街ですが、実は今から40年余り前、私が建築の仕事を始めた1970年代の頃は、今からは想像がつかないくらい、町は荒んだ状況でした。ときは高度経済成長期、全国的な建設ラッシュで、異人館も次々取り壊しの憂き目にあっていたのです。それが一気に逆転したきっかけは、1977年、テレビ小説「風見鶏」の放映でした。神戸の老舗建築家 安藤 忠雄兵庫県のANDO建築探訪 ①ローズ・ガーデン神戸市中央区 1977年完成16

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