KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年11月号
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な時、のん気にどっしり構えて笑っている主人を見ると安心するんです。私にとっては〝船着き場〟みたいなものですね。忠生 作物が台風で倒れてしまったら、また一から始めるより仕方がない。起きてしまったことは仕方がないから、元に戻す方法を考えるしかない。人間には「五気」というものがあります。やる気、根気、元気、勇気、季節の草花があちらこちらにトレードマークはずっと変わらず3人の子どもたち―素敵なロケーションですね。忠生 窓の枠の一つを額縁だと思って、それぞれに違う絵を見るように楽しんでいただけると思います。実は、レストランや販売など素人ですから、失敗したら牛舎にしたらいいかと思って…。和子 そんなこととはつゆ知らず…この建物ができ、「ここで弓削の食文化を作ろう!」と私は必死でした。料理を教えてくれた亡くなった父の「ホエイを使う」という言葉と弓削の味で育った主人の舌だけを頼りに「ホエイシチュー」を作り、その後のホエイ商品開発へとつながりました。忠生 私にできるのはチーズの種づくりだけ。それを大きく育てるのが彼女の役割です。目標を決めたらやるしかない二人で新たな挑戦を始める―ずっと「いい夫婦」でいられるのはなぜでしょう?和子 夫婦というより〝同士〟といったほうがいいかもしれません。私はすごく元気だったり、どーんと落ち込んだり…。そんそしてもう一つ、のん気が必要。酪農家はそういうものです。―これからは子どもさんたちに任せてお二人で悠々自適?和子 いつまでも口出しすると若い人たちにとって鬱陶しい存在になってしまいますからね。私たちは新しいチャレンジを始めています。チーズづくりで失敗を重ねましたから、少しは賢くなっていることに期待して、次の目標に向かっています。忠生 廃棄物と思われていたホエイを有効利用してきた延長上にある発想です。牛の糞尿を使う小規模酪農家向けの超小型バイオガスプラントの開発と実用化を神戸大学との共同研究で7割まで完成し、どういう使い方をするかを検討し始めています。まず、この牧場内でエネルギー利用するところまで私たちの手で仕上げたいと考えています。和子 多分二人とも長生きするでしょうからボケ防止(笑)。―またそのころ、お二人でどんな新しい挑戦を始めておられるか取材させてください(笑)。33

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