KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年11月号
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する高齢入居者にとってどの料理が食べやすいか、どの料理が好まれて食べられているか、じっと観察されて改良すべき点を考察されている。また同じ高齢入居者の嗜好の変化や、認知症の方が「美味しくない」と言いながら髙山シェフの作ったスープを完食し笑顔になるのも見逃さない。「認知症の方にも飲み込みが悪くなった方にも少しでも美味しいものを味わっていただきたい」との趣意である。メニューとしてはカボチャのスープとかニンジン、カリフラワーポタージュやイチゴのスープも含め10種類ほどある。このことが、関西テレビの「報道ランナー」に取り上げられた。当ホームでは2人の90歳代の女性が対象となった。一人は6か月以上シェフのスープしか飲んでいない女性。もう一人は最近食事が摂れなくなり、普通食からシェフのスープに切り替えを検討していた女性である。シェフのスープしか飲んでいない女性はそのスープを美味しそうに食べ、髙山シェフが「お味は如何ですか?」と声を掛けると、嬉しそうに「まあ、こんなもんですな」と照れながら褒めていた。もう一人の90歳代の女性は、前日の昼食に炊き込みご飯を出されたとき、「美味しそうだけど欲しくないの」とほとんど口にしなかったが、翌日髙山シェフのスープを出したところ、一口食べて「お世辞ぬきで、本当おいしいわ」と言いながら次の一口が無かった。テレビスタッフが諦めて女性の部屋から外に出て栄養士から話を聞こうとしたときに、一人になった女性はゆっくりと一口二口食べ始めた。時間はかかったが完食された。この一部始終が映像に映っており、これを観て感動した。やはり髙山シェフのスープは素晴らしい。入居者の女性は、正直に髙山シェフのスープに反応してくれたのだ。髙山シェフの嚥下スープ「幸せのスープ」は髙山シェフと兵庫医科大学教授・道免先生と共同開発しているが、他のトロミ剤を加えた食品に比べ、格段に美味しいことがこの嚥下スープの特徴であるとアピールされていた。誰もが認めるおいしさである。髙山シェフが高齢者や飲み込介護付有料老人ホーム「Mボヌール」(垂水区)の屋上で養蜂を行うる方のためにトロミ剤を使わずフランス料理の手法を生かした嚥下スープ「幸せのスープ」やデザートを提供していただいている。髙山シェフは目の前で食事を27

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