KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年11月号
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セプトに掲げられています。日本でのフランス料理はかなり遅れて発展しました。敗戦後の日本にフランス料理を導入した二人のスター、ホテルオークラ総料理長の小野正吉さんと、帝国ホテル総料理長の村上信夫さんの時代が第一ブームとすれば、次のステージとして“日本の”フランス料理をつくる時が来ている。自分達の感性を活かし日本を感じる地元素材の料理はもちろん、インテリアやカトラリー、調度品まで、和を感じていただくことで、海外の方に初めて日本発のフランス料理を提案できると考えています。「メゾン・ド・タカ芦屋」で地元のテロワールとして力を入れているのは野菜です。尼崎・武庫之荘の島中農園さんの無農薬野菜を中心にメニューを組み立てています。島中さんお一人で栽培から営業、配達までこなされているので、一番いい状態で届けてもらえるのが有難いですね。あとは明石漁港や淡路島の鮮魚、これらも信頼できる人がいいというものを使っています。私たち料理人は加工のプロなので、食材は目利きのプロである生産者さんにお任せ。だから卸し市場や漁港という集合体からではなく、生産環境や食材へのこだわりを持つ生産者さんと信頼関係をつくり、できるだけ直に仕入れるようにしています。…芦屋という土地柄はどのようにお考えですか。芦屋で成功すれば、どこででもやっていける(笑)と言われるほど、美食家の方が多いですね。だからこそ生き残っていくためには、他店との差別化が必要です。現在、当店ではお昼の時間は美と健康を意識した野菜中心のメニュー構成、夜は時間をゆっくり楽しんでいただくために旬の淡路島の海産物と地元の野菜を中心とした食材で、最高のおもてなしをおこなっています。おかげ様で昼夜、ご予約で満席の日も多く、ランチもディナーもちょっぴり高いけれど、“自分へのご褒美に”という位置づけが確立できました。「レ2015年に開催された「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」(世界大会)は初出場で5位入賞を果たした22

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