KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年9月号
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帰っていただきたい。僕だけじゃなくその日の寄席全体がですよ。 寄席はテレビに出ている人が出る日からお客さんが埋まっていくと聞きますが、テレビに出ているからといって良いとは限らないんです。来てもらえばだんだんわかってきますよ。だからテレビに出ている人達が頑張らないといけないんです。僕はテレビで落語やらないから、「この人は寄席で何やるんやろ?」とみなさん思ってはるかもしれませんけどね(笑)。─寄席は空気のリレー 寄席でもテレビでも変わらないんですけれど、場の空気全体を自分の空気に変えて、その空気で楽しませようという思いはあります。 そして、目の前の人に、どう映像を描かせるかを考えますね。いかに映像を浮かべてもらえるか、いちいち意識はしていないかもしれないですけど、演じているときはそうですね。 寄席はいろいろな噺家が次々と出てきますが、前の人がどうバトンを渡してくれるかですよね。特定の人間が自分だけムチャクチャにしてウケたって、それはバランスとして非常に悪いですからね。噺家が次の人へ空気をつくって渡していくのが寄席で一番大事だし、一番はお客様を喜ばすことですよ。落語は「順番のミュージカル」なんですよ。だからラストは一日の寄席の空気を引き継いで、そこでどう仕掛けるかです。お客様に一番最後を観て「ああ良かったな」と思って笑福亭 鶴瓶(しょうふくてい つるべ)1951年、大阪市生まれ。京都産業大学中退。1972年、六代目笑福亭松鶴の許に入門。内弟子時代を経て、同年、上方落語会会員として登録。2000年上方お笑い大賞、2010年第33回日本アカデミー賞優秀主演男優賞、2011年第34回日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞僕は、コイツの名前が出ていたらその日はチケット取りにくいよ、っていうくらいの噺家になりたい。そういう思いを持った噺家がいっぱい出てきたら、喜楽館も勝手に満杯になるでしょうね35
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