KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年9月号
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どは映像やCGで視覚的にわかりやすい演出が多いですが、落語はそれができません。それが弱点でもあるのですが、だからこそ想像にまかせることで逆に強みになるんです。それぞれのお客様の想像力で「見て」いただけるので、それこそ落語は深みがあり、しぶとい芸能だと思います。─話も古典落語あり、新作落語あり、多様な面白さがありますよね。仁智 大衆芸能ですからね。先輩方が築いた古典の伝統を守りつつ、後輩に伝えていくのも噺家の務めですが、「古典」とは言え時代と人に練られることで、古いネタですけれど新鮮な笑いにもなります。新作は新作で自分の切り口で新しい笑いのセンスを観てもらうところがあります。お客様は自分に合ったタイプの話を見つける楽しみもあるのではないでしょうか。─上方落語協会として、喜楽館にどのような協力をしていきたいですか。仁智 上方落語協会は現在249名の落語家と、三味線の方が14名おりますので、263名で活動していますが、みんな喜楽館を盛り上げていこうと一致団結しています。昼席は繁昌亭と同じ形態で、定席寄席としていつでもみなさまに落語を楽しんでいただけるようにしてまいります。夜については、繁昌亭は上方落語協会のメンバーしか申し込みできないのですが、喜楽館は貸館として活用できますので、落語も上方落語協会の落語家はもちろん、東京の噺家さんの落語会も楽しんでいただけます。落語以外にも踊りの会やジャズの会など、さまざまなジャンルの舞台としても積極的にご利用いただけるようになっています。神戸市さんも協力的で、当面の間、夜に喜楽館を借りて、新開地商店街界隈のお店で買い物や飲食をすると、貸館料の半額を補助していただけるんです。上方落語協会は8月15日・16日の夜席で、西日本を襲った平成30年7月豪雨災害チャリティー落語会を開催しましたが、このような活動にも活用していきたいと思います。新開地商店街のこれからに、期待が高まる30

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