KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年8月号
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…日本初の焼肉レストランチェーン「大同門」の創業者の長女として生まれ育ったフォーリーさん。西村家の聡明な美人三姉妹は地元西宮でも有名で、同じ中学・高校に通う私にとって、フォーリーさんは憧れの先輩でした。若い頃から、いずれは家業を継ぐという考えはお持ちだったのですか? いいえ、その逆です。親の力を借りずに自分の力で何かを成し遂げたい、家業とは一切関わらないと心に決めていました。男女雇用機会均等法が施行された時代、当時流行っていたキャリアウーマンを目指して、通訳、そして起業…と無我夢中で働いていましたね。しかしBSE問題などのあおりを受けて、大同門の業績が悪化。民事再生法の適用を申請する事態に陥ったことを受け、自身が代表に就任し、再建に努めました。…「ファミリービジネスに関わらない」。心の葛藤はなかったのでしょうか。 迷っている余裕はなかったですね。祖父から受け継いだ「大同門」創業の土地を手放さざるをえなかったとき、父が家族の前で泣いたんです。昔堅気で厳格な父が流す涙を見て、西村家の長女として、大同門を失うことはあってはならないと。他の人の手に渡って初めて、大同門は両親の生きてきた証であり、自分たちを育ててくれた人生の一部、DNAだったことに気が付いたんですね。支えてくださった関係者の皆様や、ご支援、ご愛顧くださったお客様のためにも、大同門というブランドを守ろうと腹をくくりました。…そうして妹で取締役副社長の綾城紀子さんと二人三脚で事業を再構築。大企業のトップとして、迷わず、つき進まれる原動力はどこにありますか。 迷うことだらけですよ(笑)。だからこそ目標を明確にして、ミッションとして掲げています。おかげさまで無事、今年4月に創業50周年を迎えることができました。これからの50年も皆様の記憶に残るブランドにしていくことが私の使命。関西を代表する外食産業であったことを誇りに思い、今後も新しいカタチで「関西の食」を引っ張っていける会社を目指したいと考えています。49

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