KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年8月号
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たら一緒に歌ってください」と話しました。初めは皆さん躊躇しておられたのですが、最後の「上を向いて歩こう」では隣同士が肩を組み、体を揺らしながら大合唱。「ちょっとだけ気分が晴れました」と言っていただきました。今までで一番、「音楽やっていて良かった」と思えた瞬間でした。―考えが変わった? ボランティアは自分がやりたいことをやってあげるのではなくて、立ち直るためのお手伝いでなくてはいけない、音楽でこんなに喜んでもらえるなら心の面で関われることがいっぱいあると気づきました。そして「また来てね」と言われ、考える前に「また来ます!」と答えていました。―防災・減災を伝えようという思いに向かったのは? 東北で聞かせていただく教訓には学ぶところがたくさんあるのだから、神戸で共有して広めなくてはいけない。でも、自分には体系立てた知識も発信力もない。そこで、兵庫県が実施している半年間の講習と実地訓練を受け、防災士の資格を取りました。のちに、同じく防災を音楽で伝えたいと大学院に入った、KAZZさんを紹介していただきました。―同じことを考えていた? ご自身も神戸で被災し、語り部として伝えてきていましたが、「だからどうするか」を話す時期にきていると感じていたそうです。そのために、もっと防災のことを知って、音楽を通して伝えられたらいいなと考えていた時に、兵庫県立大学の防災大学院ができることを知ったそうです。―防災を音楽でどう伝えるのでしょうか。 「ぼうさいジャンケンポン」という歌を作り神戸市教育委員会の協力で全小学校に配布していただきました。子どもたちは楽しんでくれています。でも防災の歌を作っても若い人たちに身近には感じてもらえない、届かない人たちがたくさんいる。悩んでいたときに、KAZZさんから「一緒にやろう」と誘っていただきました。今までとは違うところにも伝えられる。このチャンスを生かすために、堅苦しい防災ソングを作るのではなく、まずはカッコいい曲を作っていろいろな人たちに聞いて受け入れてもらい、メジャーデビューを目指す。自分たちが有名になったら、防災のことも聞く耳を持ってくれると考えました。―どんな活動を? 「Bloom Works」を結成しCDを作り、全国ツアーを回っています。ただし、曲の中には必ず、「大切な人を守る」というメッセージを散りばめ、時には防災用語も盛り込んでいます。来年4月には、参加することで自分の身を守る行動につながる音楽フェスを開催予定です。それに向けて一人でも多くの人に知ってもらおうと活動中です。Prole1980年、神戸市生まれ。兵庫高校、神戸大学法学部卒。2003年よりシンガーソングライターとしてプロ活動を開始。音楽活動のほか、神戸学院大学「地域学」非常勤講師、篠山市観光大使、防災士、ひょうご防災リーダー、第一回環境社会検定合格「エコピープル」、テレビタレント、ラジオDJなど幅広く活躍中53

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