KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年8月号
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みにしていたと思います。―どんな思いで今回のステージに臨まれたのですか。真 特別な言葉にするようなものは何もないです。音楽そのMCの途中、実さんの遺影に話しかけることもものが物語を作ってくれるものですね。正直、お葬式でも告別式でも涙は出なかったのですが、父の曲が気持ちに寄り添ってくれたというのでしょうか、啓もそうだったようです。啓 オープニングの演出で、「大丈夫かなあ、ちゃんと吹けるかなあ」と思いました。真 親父独特の柔らかく甘いハモンドの音色で演奏した曲を前もって録音し、父の写真だけがあるステージで本人が演奏しているという設定で流し、そこへ長男である僕の演奏が入り、次男の啓がサクソフォンで入ってきてファミリーで、という演出。僕もウルウルしてしまいました。初めて知った、父のジャズミュージシャンとしての挑戦―啓さんは今回初めて知った曲もあったそうですね。啓 「MAGOO」。親父がこんな曲を作っているとは驚きでした。デキシーやスイングは親父の本職。その先のビバップまでは足を踏み入れようとしていたことは知っていました。ところがこの曲はさらに新しいモードジャズであり、なおかつサビの部分にコード進行も取り入れている。こんな誰もやらないことに挑戦しようとしていたなんて…、親父にも探究心というものがあっ33

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