KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年6月号
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人間の善意への信頼吉川幸次郎に学ぶ孔子の教えわこうどは/まなびやをたかきにぞおけ/きみみずや/六甲のけわしきおいて/わがにわと/ながむるちぬのうみづらに/海彼のゆめをいざないて/しおさいとおくみちくるを 我が母校、神戸高校の校歌であるが、実は吉川幸次郎先生の作詞だ。戦後まもなく新制高校となったのを機に新しい校歌をと当時の高山忠雄校長から依頼を受けた吉川先生は、漢詩ならお手のものだが和文の作詞経験はないと固辞。友人の三好達治を紹介したが高山校長は聞き入れなかったという。 その頃、吉川先生はまさに崩れんとする中国学を一人で支えていた。中国文学は神への関心を抑制し、人間のみを見つめている。特にその根本となる孔子の教えについて、吉川先生は『中国の知恵 孔子について』で「論語をつらぬいて流れているもの、それは要するに、ふてぶてしいまでの人間肯定の精神、更にいいかえれば人間の善意への信頼であると、感ぜられる」と述べている。 また、そもそも論語は日本人にも広く読まれていた書物で、日本人の精神文化もここに根ざしているところが大きい。『日本の心情』には、日本人が「何によって生きているかいえば、相互の信頼によって生きている。相互の信頼ということは、要するに人間の善意を信頼するという連載 神戸秘話 ⑱瀬戸本 淳(せともと じゅん)株式会社瀬戸本淳建築研究室 代表取締役1947年、神戸生まれ。一級建築士・APECアーキテクト。神戸大学工学部建築学科卒業後、1977年に瀬戸本淳建築研究室を開設。以来、住まいを中心に、世良美術館・月光園鴻朧館など、様々な建築を手がけている。神戸市建築文化賞、兵庫県さわやか街づくり賞、神戸市文化活動功労賞、兵庫県まちづくり功労表彰、姫路市都市景観賞、西宮市都市景観賞、国土交通大臣表彰などを受賞文・瀬戸本 淳 (建築家)26

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